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『月とうさぎのフォークロア。』感想

 GA文庫、徒埜けんしんさんの『月とうさぎのフォークロア。』の感想です。ネタバレはありませんのでご購入の参考にどうぞ。

うんかわいえええぇえええ!?

 今回はいつもと違ってまず表紙の様子から。

 うん、かわいい。はてさてこの表紙から想像しうる物語となると、ラブコメかあるいは幻想譚か。まあある意味どちらも間違いではありませんでしたが。そして裏のあらすじを見ると『抗争』だの『血に塗れた』だの何やら不穏な文言が。

 そして読み始めて数項。

「ヤクザものだこれー!」

 いやまあ、確かにあらすじを読んだ時点で血は流れるだろうくらいは理解できましたが、予想を超えてそっち方面でした。表紙の子、稲羽白も一般人枠ではなく直参であり、主人公である伊岐朔の父親が総長を務める月夜見一家の二次団体の若頭。要は只者ではない。

 さて、月夜見の名前が出たことで察しが付く方も多いでしょうが、組織や登場人物のモチーフは日本神話です。それをヤクザの抗争に混ぜ込む辺り面白いセンスだと個人的には感じます。あ、ちなみにこの世界において神人が属する組織同士の抗争は比較的日常茶飯事のようですが、一般人に被害が出ることはほぼほぼない様子。むしろ一般人は見世物として楽しんでいるようです。

 とはいえ神人にしてみれば本当に生きるか死ぬかの話ですが。実際、割と軽く命が飛びます。『こいつ絶対何人か殺ってる』といいますが、最早何人の枠では収まらない。殺し方もえぐいものがあったりするのでその辺りグロ注意。

純粋にエンターテインメントとして

 それでは総評。朔の『お前のような堅気がいるか(朔は途中までは立場的には堅気)』感や展開の読みやすさなどあれど、純粋にエンターテインメントとして面白かった。朔の、自分の気持ちを分かっているような分かっていないような、言うなれば年相応の若さと、好意を全く隠そうとしない白や、犬神である犬吠埼春。他にも二人、いや一人と一柱いますが彼女らについてはまだそれほど多く出ているわけではないのでひとまずは割愛。暴力描写が苦手な人にはお勧めはできないし、ヤクザものの乗りが苦手、もっといえば嫌いな人にはなお勧められないけども、甘味、苦味、辛味(?)をそれぞれ味わいたい人には丁度いいのではなかろうかと。

 ああ、そうそう。ここまで来ておいて何ですが、私、ヤクザものには一切興味がありません。なので上記で語ったヤクザものの乗りというものを正確に理解しているわけではございませんのであしからず。

2016年12月28日:筒狸

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