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『追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ』感想

 富士見ファンタジア文庫、田辺屋敷さんの『追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ』の感想です。ネタバレはありませんのでご購入の参考にどうぞ。

SF的ボーイ・ミーツ・ガール

 二学期が始まった教室に現れた風間ハルカ。主人公・篠山マサキの記憶には存在せず、しかしクラスに当然のように溶け込んでいる少女。彼女の本性を知ってしまい、加えて些細な食い違いのせいで恋人を演じることとなったマサキだったが……裏表紙のあらすじをさらにざっくばらんに書くとこんな感じです。少し不思議なボーイ・ミーツ・ガールというと大雑把過ぎでしょうか。

 とはいえ本作。個人的にはそれほどといった具合というのが正直なところ。話の構成や登場人物たちの好き嫌いでいうと好きな部類なんですが、読み終わった後に何も残らなかった。実のところ読み終わったのは先月末なんですが、今日まで感想書かなかったのはそのあたりの理由を自分なりに考えていたということもあります。

 次々に起こる不可思議な出来事に右往左往しながらも恋人を演じ続け、やがては自分が変わるきっかけをくれたハルカに感謝し、好意を抱くようになっていたマサキ。しかしある出来事をきっかけに、彼はハルカの存在をなかったことに、つまりはもともと自分がいた世界に戻そうと(というと語弊がありますが、本作はパラレルワールド的な話ではありません)動き出す。そしてその果てに……と、改めて書いてみてもやはり好きな部類に入る話。ではなぜか。

読みやすすぎた

 まあ結論としては。話の展開が読みやすすぎた、ということでしょう。今までも何度か「展開が読みやすい」という語句を用いて紹介したことがありますが、今作の場合はそれが「すぎた」。全部が全部というわけでは流石にありませんが、しかし展開の九割九分を中盤までに先読みしてしまい、さらにはそれが当たるとなるとどうしても心に残るものも薄い。

 とはいえ面白かったのか否かという二元論でいうなら面白かった。欲をいうならもういくつかエッセンスなり隠し味なりがほしかったなぁ……といったところで、今回はこれにて。

2017年2月2日:筒狸

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