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『追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ3』感想

会いたいのは、本当に好きなのは

 さてここからはネタバレが入りますのでご注意ください。

 今の世界のハルカと親密になるべく『縁切り』による時間遡行を繰り返すマサキですが、その実やはり本当に好きなのは以前の世界のハルカ。そのことは話を読んでいれば自ずと伝わってきます。

 ただ、この『以前の世界のハルカ』というのも厄介な表現で、それは最初に邂逅を果たしたハルカのことなのか、それともその後初めての再会を果たしたハルカのことなのか。

 そのことはひとまず置いておいて、結末に至るまでの気になった点などを少々。

全巻を通しで読んで欲しい所以

 三巻にて明かされる謎は、三巻で登場したものだけではありません。というか、三巻で登場した謎を解明するためには一巻と二巻で触れられた事象が関わってきます。

 例えば過去に届く葉書。これは一巻においてマサキが八枚ハルカに送ったわけですが、この世界のハルカはその葉書を”九枚”受け取っています。

 その九枚目を送っていたのは二巻の世界におけるハルカだったわけですが、このことにマサキがたどり着くためには二巻での会話や出来事が肝になってきます。

 とはいえその出来事はふとした何気ない中に点在する形なので、よほど注意深く読んでいてかつ間を開けていなければ『そんなのありかよ!』となりかねません。

 ですので、未読の方で興味を持たれましたら一巻からの通読をおすすめしました。

デウス・エクス・マキナ?

 さて本巻で登場した歳森チエですが、彼女の祖父は元々マサキ達の町の神社を管理する人間でした。神社が合祀され今に至るのは一巻でもすでに語られたとおりですが、その合祀の後に町では不可思議な現象が起きていたとのこと。そのことと合祀のことが何か関係があるのではと考えた彼女の祖父が立ち上げたのが、伝承研究会でした。

 つまり彼女は町の伝承については明るいもののその実何も知らないに等しい人物。ただ、彼女が読んでいたSF小説が時間遡行に関するものだったり、何気ない一言でマサキに真相への足がかりを与えたりと、その働きはぽっと出とは思えないレベル。

 デウス・エクス・マキナというほどのものではありませんが、これならいっそ二巻で登場させて立ち位置をはっきりさせていただきたかったというのは私のわがままです。

結局よかったのか

 二巻と三巻の中盤までのいわば中だるみ期間を乗り切れば、少し不思議なボーイミーツガールの名に偽りのない話だったと思います。最初のハルカはもう故人だし、マサキが正しく後悔をやり直すために縁切りを使ったのだからこの結末は当然の結果ではありましたが、それでも落ち着くところに落ち着いてくれて安心しました。

 特に後半の、改変される直前の世界に戻ってからのマサキの目が、しっかりとその世界のハルカに向けられていた点は好印象。ここでまた『前のハルカは』などと言い出そうものなら『ちょっとハルカさん、もう一回世界いじって』と突っ込むところ。

 一巻、二巻とあまりよい印象の感想は残していませんでしたが、終わりが綺麗にまとまっていたので全てよし。贅沢を言うのなら、その三巻後半のストンと落ちる感じを、長期的に出していただきたかったといったところでしょうか。

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2017年11月27日:筒狸

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