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『リンドウにさよならを』感想

 ファミ通文庫、三田千恵さんの『リンドウにさよならを』の感想です。ネタバレはありませんのでご購入の参考にどうぞ。

ファミ通文庫の王道か

 さてさて。こちらを大雑把に分類するなら『追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ』同様少し不思議なボーイ・ミーツ・ガールに分類されます。

 いよいよもってそういうものばかりな気がしてなりませんが、もとよりファミ通文庫に関しては青春+何かという方面で強いという印象がありますし、そもそも最近の私の趣向からしてそうなのだから仕方なし。『“文学少女”』然り、『この恋と、その未来。』然り。まあ『“文学少女”』は多少の古さはありますが。それでも今でも一位二位を争うお気に入りです。

 では今作は果たしてどうだったのか。それを一言で言い表すなら「ゾクッとした」でしょうか。青春ものに対しその評価の仕方は我ながらどうかと思いもしますが、あらゆる意味でゾクッとさせられたのは事実。

 久々です、先がある程度読めていたのにそういう感覚に襲われたのは。特に真実が明かされたあとのある一文においては、そこだけ切り取ればなんてことはない文なのにこみ上げてくるものがありました。

あえて語らず

 死んでしまって自縛霊になったらしい神田幸久と、彼が見える、クラスでいじめに遭っている穂積美咲。二人の交流から徐々に変化していく美咲と彼女を取り巻く環境。そこに絡めて描かれる、幸久が想いを寄せていた襟仁遥人との思い出。それらが巧みに結び合ったからこそ、あの一文は心に響く。そんな印象です。

 あえて多くは語りません。というか、私の場合気に入れば気に入るほど口数が減る口なので、まあつまりはそういうことです。曲がりなりにもレビュー書いてる人間としてそれはどうよと思わないわけでもないですが。

2017年2月3日:筒狸

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