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『わたしの魔術コンサルタント』感想

 電撃文庫、羽場楽人さんの『わたしの魔術コンサルタント』の感想です。ネタバレはありませんのでご購入の参考にどうぞ。

ラノベにしては年齢層高めの主人公

 魔術の概念が存在する現代日本で、魔術を失った黒瀬秀春と、彼の前に現れたかつての師の娘、朝倉ヒナコ。個人的に珍しいと感じたのはまず主人公である秀春の年齢……なんと二十七歳。最近では『29とJK』なんかもありますし実のところそう珍しいものでもないのかもしれませんが(なおそちらは未読)、少なくとも私が読んできた中での主人公最高齢を更新です……たぶん。

 全体的な雰囲気は、暗くもなく過度に明るくもなく、ああ、魔術があってそれに関する職業や学校が存在する世界の日常、といったところ。所謂ファンタジー的な魔術ですからそりゃ事件だって起きますし登場人物達だってほぼ全員が魔術士(師にあらず)ですのでその間でのいざこざもあります(この世界における魔術の説明は、秀春をダーリンと呼んで憚らない朱門蓮歌とヒナコの対決の間に行われます)。が、大規模な事件は終盤に差し掛かるまで起きません。このあたりの運びは、内容や構成、文章の表現などまったく違えど『いつかの空、君との魔法』に近いといっていいのか? とにかく、魔術が世界に存在するからといってそう毎度毎度争いが起きるわけではないという好例である点は同じといっていいでしょう。

 さてさて、秀春が魔術を失う原因となった、四年前の「消失した正午」と呼ばれる事件。これについての詳細は劇中描かれません。精々、首都圏一体で魔術が使えなくなったことと、<永久言帝>という、まあいってみれば魔術の中でも突出した力の抹消という形で決着がついたということ。実際のところはもうちょっと詳細に、中盤あたりから少しずつ書かれているのですが、想像の余地を残すという意味も含めていつもどおりネタバレはなしな方向で。

消化不良は消化不良

 さて総評ですが。どうにも消化不良感が否めない。続刊が出るのならそれは飢餓感に昇華されますが、あとがきを読む限りではなんともいえません。内容的にはそのまま続けてもらいたいのですが……というか本当に色々とぼんやりしている部分が多くて次の巻出さないともうどうしてくれようかといった感じです。いや、嘘です。情報少なすぎるからといってそれに憤慨することは私はありませんから。でも続刊を望むという点は本当。

2016年12月15日:筒狸

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