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『狂気の沙汰もアイ次第』感想

 電撃文庫、神田夏生さんの『狂気の沙汰もアイ次第』の感想です。ネタバレはありませんのでご購入の参考にどうぞ。

個人的デスゲーム系初作品

 『バトルロワイヤル』や『リアル鬼ごっこ』など所謂デスゲーム系、実は読んだことがありません。Wikipediaによると『Fate/stay night』もデスゲームらしいのですが、個人的にはその印象はない。アニメのほうのWIXOSSはまあ間違いなくデスゲームではありますが、カードは軽くとはいえやっていてもアニメは序盤しか見ていないので除外。

 とはいえ、別にデスゲーム系に興味がないわけではなく、触れる機会があまりなかったというだけ。というわけで、実質今回の『狂気の沙汰もアイ次第』が、私のデスゲーム系作品初読書となりました。

野暮だけどやっぱり突っ込みたい

 宇宙人によって誘拐され、「極限状態におけるアイを観察する」という名目の元閉じ込められる山口健次たち七人。殺したり殺し合わせたりする意思はないと言う宇宙人は、彼らに衣食住は勿論、わずかながら娯楽も提供します。ただし、与えられる水は「飲めば人を殺したくなる水」。生きるためには水を飲まねばならず、しかし飲めば殺人衝動に駆られてしまう。果たして彼らの運命は……

 最終盤の展開に若干の性急さは感じましたが、殺したくないのに殺したいという矛盾した葛藤、宇宙人が求めるアイとは何なのか、各人が抱えるコンプレックスなど、見所は多かった。まあ葛藤については予想よりも少なめではありましたが。先述の性急さについても、一応伏線的なものはありましたので極端に唐突過ぎるというわけでもなし。そもそも件の宇宙人の弁を借りるなら、ミステリではないのでそのあたりを突っ込むのも野暮な話でしょう。

 個人的には、明かされる宇宙人の正体が新鮮でよかった。ああ、勿論この場でそれについてこれ以上言及するつもりはありませんが。

 なお、気になる点がありはするのですが、これが残念なことにというかなんというか、クライマックスの展開に大いにかかわる箇所なので、同様に言及は避けさせていただきます。ただ一言、それぞれについて思ったことを軽く。

「おいおいそりゃないよ」

「いいのかよお前はそれで」

2016年10月13日:筒狸

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