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『狂気の沙汰もアイ次第 ループ』感想

 電撃文庫、神田夏生さんの『狂気の沙汰もアイ次第ループ』の感想です。ネタバレはありませんのでご購入の参考にどうぞ(ただし、前巻『狂気の沙汰もアイ次第』のネタバレが含まれます)。

なるほどループか

 無印で、二人の死者を出し、主人公の山口も右腕を失いながらもマダナイの手助けもあってマスターの実験から生還を果たした彼等。その結末や話の中を見る限りで明らかに単発ものだったことから、本作『ループ』は完全に不意打ちでした。

 というか、正直にいって不安でした。この話をこれ以上どう続けるんだと。

 実際のところ、大筋は前刊と大きな違いはありません。違う点は開放の条件(生存者が二名以下になれば開放)と与えられるもの(飲めば生き返る石)が違うということ、そして前回から二名、被検体が増えているという点。

 ……はい、前回の七人、続投です。先述のとおり無印の七人の内二人は死んでいるのですが平然と出てきます。というか、また面識がない状態から開始。正直「何がどうしてどうなってるの? そういう運命に捕らわれたループもの?」と最初、というか続刊の情報が出てからずっと思っていました。それで途中でそのことが明かされるなんて考えていましたとも。実際のところは違ったわけですが。まあ、「そういう運命に捕らわれた」という点に関しては、正解でした。詳しくは実際に読んでから確認していただきたく。

おいおい大丈夫か……?

 そしてまあこれまた嘘偽りなく言いますが、中盤までの話の運び、というか展開の大筋も無印とほぼほぼ同じで(無印と違い自発的に殺し合いを始めることにはなりましたが)、「おいおいマジで大丈夫か?」とすら思っていました。ええ、中盤までは。むしろ中盤まで似たような展開にあえてすることで後半のインパクトを与えようとしたのであるならばまんまと乗せられたということになります。

 無印に感じられた性急さや唐突過ぎる展開は目立たちませんでした。あとがきで言及されていますが、続刊とはいっても続き物ではなく別個の作品としても楽しめる構造ですので本作から読んでも問題はないでしょう。もっとも、やはり一番いいのは無印から読むことですが。

 しっかしまあ、狂気の沙汰とは果たして誰に向けられた言葉やら。

2016年12月15日:筒狸

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