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『賭博師は祈らない2』感想

 電撃文庫、周藤蓮さんの『賭博師は祈らない2』の感想です。ネタバレはありませんのでご購入の参考にどうぞ(前巻『賭博師は祈らない』のネタバレが含まれます)。

まさかの二巻

 奴隷の少女リーラを買い取ったことから始まった騒動を片付けたラザルス。しかしその騒動がもたらした影響は大きく、そのほとぼりが覚めるまでの間帝都を離れることにした二人。その道すがら、乗っていた駅伝馬車が強盗に襲われ、やむなく近くの村に逗留することになったのだが……

 まさか二巻が出るとは思っていなかった。いえ、面白くなかったとかそういうことではなく、むしろ断然面白かったわけですが、なにせ先述の通りリーラに関わる騒動はひとまず落着していたし、物語もいい感じに余韻を残しつつ終わっていたので。ですからまあ、その分「大丈夫かな」という不安もありましたけども。

 結論は、ああ畜生、こういう話いつか書いてみたいと思わせる内容でした。一見してなんの関係もないような、言ってしまえばラザルスにとっての日常の一コマみたいなところも後々の伏線になっていたり、一見してご都合主義のような展開も、ラザルスならと思わせる話の運びだったり。

 それに、ラザルスとリーラの関係の変化もよかった。変化というほど大きなものではないのかも知れませんが、ラザルスにとってのリーラ、リーラにとってのラザルスがより明確になったと感じました。何よりも、立ち寄った村で知り合った、地主の当主代理を務めるエディスからラザルスが求婚されたと知ってからのリーラの想いとかラザルスの考えとか、ほんっとごちそうさまでした。

 前巻では、問題の中心がリーラにあったことからリーラの心情描写という点についてはラザルスが感じたことのみが読者に伝えられていましたが、今回はいわばラザルスとリーラのダブル主人公で、それぞれの思いが描かれています。

 ウェイトとしてはラザルスのほうが多いですが。ただ、それらの描写がごちゃまぜになってどっちがどっちだとなることもなく、丁寧になされていてそれもとてもよかった。総じて、読みやすく大変面白い一作でした。このまま三巻が出るかどうかは今のところなんとも言えませんが、是非電撃文庫の新たな柱になってもらいたいと思います。もっとリーラちゃんライジングを見たい。

 そして『賭博師は祈らない』恒例(?)の賭博シーン。

 一巻では物語の方向性、というかラザルスという人間がどういう人間かを知らしめるためにか何度も賭博に挑むラザルスが描かれていましたが、今巻では本格的な対決はクライマックスのみ。こちらに関しては一巻に比べると少々味気なさは感じます。ただ、そのクライマックスの対決が色々と持っていてくれましたので問題なし。特にラザルスの大見得は爽快の一言に尽きます。

 そんなわけで、『賭博師は祈らない2』、未読の方は是非一巻と合わせて是非ご一読くださいませませ。

2017年8月27日:筒狸

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