無銘図書館

『1パーセントの教室』感想

秘密を暴く側と護る側、どっちがいい?

 それではここからはネタバレ解禁でございます。未読の方、またこれから読もうと考えている方はその点お気をつけください。

 人間、誰しも秘密の一つや二つ抱えているもの。ですが今作の場合、その『秘密を抱える』ということも、テーマの一つになっているようです。

 誠也は作中で大きく三つの事件に巻き込まれますが、そのいずれもが、他人の秘密を暴かなければ完全には解決できないものばかり。そして――

日常にある不気味さ

 今作最後に誠也が巻き込まれた、クラスメイトの花園玲奈の失踪事件。涙を流していた彼女と最後に言葉を交わしていたのが誠也だったことで、クラスメイトから糾弾されることになるわけですが……

 この前後から、人間関係の綻びが少しずつ明らかになっていきます。と、いうよりも、秘密を抱えるというある意味当然のことが、不気味さを伴って描かれています。このあたりはどことなく『人間失格』を思い起こさせました。

 相談の達人などともてはやしておきながら、実際の捜索や調査には手を貸そうとしないクラスメイト。事件解決後には花園の幼馴染であり、誠也と日比野以外に唯一花園の捜索に手をつくしていたクラスの人気者・川越はそのことを『不気味』とまで評しています。

 ですが実際は、先述の通り秘密なんてそうおいそれと他者に打ち明けられるはずもなく。そのことを『不気味』というのは川越の言葉通り『過敏なだけ』なのでしょう。とはいえ、不気味さを感じたのは間違いないわけですが。

 物語を描くという観点からすれば、そのある種普通のことを、誠也の目線を通じて薄気味悪さを感じさせるよう描いてみせた松村さんの技が発揮された結果でしょう。

続編はあるのか?

 誠也は『人の心に踏み込もうとするとひどい頭痛に襲われる』体質で、そのためはっきりと友人と呼べる人間はいません。しかしかといってクラスから孤立しているというわけではないのですが。

 この原因となった出来事は結局作品内では詳らかにされてはいませんが、おそらく冒頭の日比野との会話から、ここにも何らかの形で『祭り』が関わっているのではなかろうかと。

 また、先述の通り日比野も本人曰く『祭り』が原因となって呪われた体質となったと語っていますが、その詳細も明らかにはなっていません。果たして今後、これらが解明されることはあるのか否か。

 こちら一冊でも充分に楽しめる作品ですし、その先は読み手の想像に丸投げされても嫌はまったくないんですが、でもやっぱり松村涼哉ワールドをもう少し覗いていたいかなーなんて。

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2017年12月14日:筒狸

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