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『1パーセントの教室』感想

 電撃文庫、松村涼哉さんの『1パーセントの教室』の感想です。後半、軽度のネタバレが含まれますのでご注意ください。

これまでとは打って変わって

 さて、松村さんといえば『ただ、それだけでよかったんです』で鮮烈な登場をしたかと思えば、当館でもご紹介しました『おはよう、愚か者。おやすみ、ボクの世界』で(個人的に)ハッピーエンドとはなんぞやと考えさせられた方ですが、今作はどうだったかというと……やっぱり、松村さんは松村さんでした。

 ただ、今作はこれまでの二作品とは違って多少ギャグ寄りにはなっています。ええ、多少。それも中盤あたりまで、ですが。

オカルト色がほんのり強い

 今作のキーワードの一つといえるのが『祭り』。冒頭で主人公であり語り部の雨ヶ崎誠也は、クラスメイトに誘われて行った地元近くで行われる稲祭りに参加することになるわけですが、そこで不可解な幻聴や幻覚に襲われます。

 そこを助けたのが、死神と恐れられ、近づくもの皆不幸にしていく日比野明日香。彼女に『一目惚れ』されたことで、誠也もまたその災難に襲われることになるのですが……

 あらすじ等でも書かれていますが、実際には日比野が好きになる人物が破滅する運命にあるだけで、彼女が何かしらしているわけではありません。そして、そういう体質になってしまった理由もとある『祭り』にある模様。

 かくして、その呪いによって破滅を予言された誠也の非日常が始まります。

蓋を開けてみれば

 まあ先述の通り、ギャグ路線を多少交えつつも人間の内面の怖さがそこかしこに差し込まれ、特に終盤は(序盤のギャグ要素で多少緩くなってはいても)人間の恐ろしさが描き出されています。

 テイストが変わりながらも相変わらずの読み応え、是非。

NEXT:次項、本巻のネタバレが含まれます

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2017年12月14日:筒狸

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