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『巫女華伝 恋の舞とまほろばの君』感想

 角川ビーンズ文庫、岐川新さんの『巫女華伝 恋のの舞とまほろばの君』の感想です。ネタバレはありませんのでご購入の参考にどうぞ。

巫女華伝あらすじ

 出水国を守る巫女である瑠璃と、大倭王朝の皇子である紫苑の恋物語。瑠璃は巫女の身でありながら、幼い頃に母を亡くし、それ以来神様を信じられず、薬学に励んでいた。そんな折、敵対する王朝の皇子である紫苑がやってきて……

それは禁断の恋

 瑠璃に一目惚れしたといきなり求婚してくる紫苑ですが、瑠璃には一族の掟によって決められた許嫁・翡翠がおり、ある意味で王道的な話の運びとなっています。

 先述の通り、瑠璃の出水国と紫苑の大倭王朝とは因縁浅からぬ間柄。紫苑は元々、旧王朝でもある出水国に剣を捧げさせる、つまり服従の意を示させるために現王朝の王より遣いに出されたわけですが、序盤はそれは瑣末ごとと言わんばかりに紫苑が怒涛の勢いで瑠璃に迫ります。決して肉食系ではなく、どちらかと言えばチャラい感じ(というと失礼でしょうか)で、それでもまっすぐに好意を向けられる瑠璃の心は、基本的には冷静ではあるものの揺れに揺れます。

 勿論それだけにとどまらず、両国の思惑なども交差し、物語を盛り上げます。紫苑の真意、瑠璃の想い、そして出水国と大倭王朝の行く末は――

 全体を通しても王道で、その分安心して読める内容かと思います。ただ、人によっては盛り上がりに欠けるなと感じるかもしれませんが。

続編に期待

 物語的にはまだ完結していませんので次巻が楽しみです(実はまだ読んでません……)。とにかく禁断の恋、和風ファンタジーという単語に目がない方にはおすすめしたい。

2017年11月1日:如月架音

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