無銘図書館

『平安あや恋語 彩衣と徒花の君』感想

 角川ビーンズ文庫、岐川新さんの『平安あや恋語 彩衣と徒花の君』の感想です。ネタバレはありませんのでご購入の参考にどうぞ。

新たな平安恋物語

 本作『平安あや恋語』は、岐川さんの『平安うた恋語』と同じ世界観で展開される新たな恋物語となっています。うた恋語を未読でも勿論楽しめますが、そちらを読んでおくとより一層物語にのめり込めるかと思いますので、未読の方は是非とも。

 没落貴族の娘である百合は、十二単の色合わせを得意とする、妹や父親を気にかけるしっかり者。ある日、父親の直衣の色合わせをしたところそれが評判となり、気づけば女房として出仕することになります。没落の身でありながらこの怒涛の出世、まったくもって羨ましい限り。

 しかしそこで終わらないのが百合が百合たる所以と言うか、妹である撫子の結婚相手を少しでもいい人にするために、後宮に入って更に出世しようと奮闘します。このあたり、妹思いの姉としての一面が強く描かれ、よかったと思います。

 さて、百合が仕えることになったのは東宮の女御たる香子。とんでもないわがままな性格の東宮に呆れながらも、女房の鑑、そして宮中一の美女とされる三位局に憧れ日々を過ごすのですが……

三位局の正体

 この三位局の正体が左大臣家の次男、オレ様公達こと藤原龍臣であることを知ってしまった百合。しかも東宮とは悪友で共謀関係にあるという。半ば強引に二人に協力することになった百合は、ことあるごとに厄介事に巻き込まれていきます。

 そんな中で、時には三位局として助けてくれ、またときとしてからかってきたりする龍臣に対し、百合の心は揺れ動きます。

まだ恋とは遠い

 今作に関しては恋物語というよりもコメディタッチの色が強く、まだまだ物語が本格的に動き出すには時間がかかりそう。

 百合が自分の恋心を自覚するのはいつになるのか、続きに期待しています。

2018年1月10日:如月架音

『角川ビーンズ文庫』関連記事